iDeCoとは
個人型確定拠出年金iDeCoは、自分のために年金を作る制度のこと。
「iDeCo(イデコ)」はその愛称で、individual-type(個人型)Defined(確定)Contribution(拠出)pension plan(年金)の英語の頭文字をつなげたものです。
自分で決めた掛け金を拠出して積み立て、自分で選んだ金融商品(定期預金、保険商品、投資信託)でその掛け金を運用します。
年金受け取り額は、運用成績によって変わり、運用がうまくいくほど60歳以降の年金受け取り額が増えます。
日本の年金の仕組みは3階建てです。
1階部分は国民全員が入っている国民年金。
2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金、この2階までが公的年金といわれる部分です。
3階部分は企業年金や厚生年金基金、そして今回のiDeCoがあてはまります。
2階までの公的年金では足りない部分を補うプラスアルファ部分ということです。
これを増やそうというのが、iDeCoによる投資運用です。
iDeCoのメリットとデメリット
最初にメリットです。
個人型確定拠出年金iDeCoで老後資金を作ることの最大のメリットは、節税です。
①所得税・住民税が軽減できる
掛け金は全額が所得控除の「小規模企業共済等掛金控除」にあたり、所得から全額差し引くことができます。
年収に応じた税率15〜55%の所得税・住民税が、控除分だけ軽減されるのです。
課税所得が多い人ほど、iDeCo(イデコ)の所得控除のメリットを受けられます。
②運用益がすべて非課税になる
通常は投資で資産運用をしていると、毎年の分配金などの運用益には20%の税金がかかりますが、iDeCoで運用した場合はすべて非課税です。
③受け取り時は退職金や年金として控除が適用される
60歳の受け取り時は、一括でもらうと退職金所得控除、年金として分割でもらう場合にも公的年金控除が適用され、どのような受け取り方でも税金の負担は軽減されます。
④いざというときに障害年金、死亡保険金として受け取れる
iDeCo加入者が60歳になる前に重度の障害者となった場合は、障害年金が受け取れます。
また、60歳になる前に亡くなった場合は、親族が死亡保険金として受け取ることも可能です。
次に、デメリットです。
①投資なのでリスクがある
iDeCoは、あくまで投資です。
自分で拠出して運用し、「自分オリジナル年金」を作る制度であることはすでに述べました。
運用スタイルに合わせて投資商品を自分で選べますし、預金や保険の元本保証型のみを選ぶこともできますが、利回りを少しでもよくしようと思うのであれば、多少のリスクをとることはやむを得ません。
②掛け金には上限がある
自営業者は毎月6万8000円の掛け金が上限。
会社員の場合は、会社側で企業年金や企業型確定拠出年金に加入しているか、いないかなどによって、2万3000円もしくは2万円、1万2000円と上限があります。
人事部や総務部で、拠出できる金額を確認してください。
③60歳まで引き出せない
iDeCoは、始めたら60歳になるまで引き出すことは原則としてできません。
理由は、iDeCoの目的が老後のための資金形成だからです。
たとえ勤務先を退職しても、原則60歳までは継続となります。
もしも60歳までに大きな支出を予定していて、それに備えた蓄えがない場合は、iDeCoではなく他の投資商品を選びましょう。
iDeCoは60歳未満の人なら誰でも使える制度です。
しかし、60歳までは引き出せないことを考えると、スタートする前にiDeCoを始めることに意味があるのか、よく考えてみてください。
iDeCoのメリットを大きく感じられる人は、雇用が厚く保障されていて安定的な収入のある会社員です。
長期で資産をiDeCoに拘束されていても、自営業者に比べると、家計に緊急事態は起きにくい。
給与からそのまま定額を引かれても、収支が安定しているので経済が回りやすいのです。
反対にメリットがないのは、そもそも税金を払っていない人。
具体的にいうと、例えば扶養されている人(専業主婦、子どもなど)です。
早速、iDeCoを始めよう
加入手続きは、iDeCo公式サイトの「運営管理機関一覧」に掲載されている160社の金融機関の中から1社を選び、まずは口座を開設します。
そこから加入申出書を国民年金基金連合会に提出する流れです。
一部の金融機関では、オンラインでも手続きができます。
金融機関によって、扱っている運用商品や手数料など、提供内容が異なります。
金融機関を決めるときに参考にしてほしいポイントは次のとおりです。
- 給与受取口座を掛け金引き落とし口座に指定できるかどうか
- 「運営管理手数料」はいくらかかるのか
- 安全性や運用実績のある商品が揃っているか
- 自分に合った商品の取り扱いはあるか
- 窓口やコールセンターなどでアフターフォローはあるか
- インターネットアプリなど、提供されているサービスの使い勝手はいいか
以上のことは、金融機関のサイトやコールセンター、窓口で直接確認できます。
ここで触れておきたいのは、iDeCo口座の手数料の件です。
「運営管理手数料」については金融機関ごとに異なります。
その他の手数料にもいえることですが、iDeCoは長い年月をかけて作る自分オリジナル年金です。
運用には、多少なりとも手数料がかかるのは仕方のないことですが、できるだけ少ない金融機関を選びましょう。
次に、月々の掛け金の金額を決めます。
iDeCoの掛け金は、月々5000円以上で1000円単位です。
自分が対象になる上限額の範囲内で設定します。掛け金の額を決めるときは、基本的に60歳にならないと引き出せない資産であることを考慮して、無理なく継続できる掛け金額を設定しましょう。
掛け金額の変更は1年に1回だけ。
また、掛け金の拠出はいつでもやめることが可能です。
月々の掛け金が決まったら、次は拠出している掛け金で運用する商品を選び、どんな割合で運用をするかを決めていきます。
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