いま話題のFIREについて

FIRE

生活のための労働はやめて自由に生きる

FIREとは「経済的自立を果たし、生活のために働くのをやめて自由に生きる」という活動のことです。

Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとったもので、直訳すると「経済的自立と、早期リタイヤ」です。

お金のために働きたくない。生活のために好きでもないやりたくもない仕事に時間を費やすなんて、もううんざり。

もっと自由になりたい。そんなアメリカの若者たちが始めた活動が、いま日本のマネーの世界にもちょっとしたブームを起こしています。

 

FIREの達成は、経済的自立を意味する

とはいえ、「早期リタイヤ」というのは「お金に縛りのない富裕層だけが実現できる生活」だと思っている人もいるはずです。

本当に自分にもFIREができるのか、と疑問に思っている人も多いでしょう。

 

この「FIRE」と従来の「早期リタイヤ」との違いを簡単にいうと、FIREは経済的自立(Financial Independence)の意味合いが強いこと。要は誰にでもできる「経済的自立」です。

莫大な遺産を相続したり、ビジネスで大儲けしたり、というような特別な人だけのものではなく、支出を減らして収入を増やし、収支のバランスをとって上手に継続していけば、誰にでも実現できるライフスタイルのことを指します。

 

アメリカで生まれたこの「FIRE」の概念は、マイホームやマイカーを持つことに憧れや興味のないミレニアル世代(2000年代に成人や社会人となる世代)の発想から来ています。

「お金をたくさん稼いで、欲しいモノを次々と手に入れられるのが幸せ」という世代の思想から、「お金を稼ぐためにあててきた時間を、人生を豊かに作り上げていくための時間にシフトしていきたい」という世代の思想へという変化が背景にあるようです。

 

ところで、FIREするためにはどれくらいの資産が必要なのでしょうか。

 

一般的にいわれているのが、年間支出の25倍です。

この額を投資元本にして運用した4%の運用益だけで暮らしていく、というのが「FIRE」の基本原則といわれています。

 

では具体的に、年間支出の25倍の金額とはいくらなのでしょうか。

参考までに総務省の家計調査から2020年度の2人以上世帯の消費支出を見てみると、1世帯あたり月平均27万7936円、年間で333万5232円です。

これを25倍すると8338万800円となります。

この金額を4%以上の年利で回してその利益で生活するというわけです。

 

8338万円という数字を見る限り、「到底無理」と思ってしまいますが、この数字は、あくまでアメリカのインフレ率や株式市場の成長率を前提とした試算です。

いくらアメリカ経済を前提としていても、8338万円もかかるんだと思うと、やはり運用益のみで暮らすのは実現不可能だと思うのは正直なところです。

 

この試算は「4%ルール」といわれ、アメリカのトリニティ大学の博士が研究した金融理論です。

退職後の資産を運用して、その運用益からの支出を4%未満に抑えることができれば、高い確率で30年以上資産を維持できるというものです。

この調査結果に基づいた理論は、FIREを目指す人たちの間で知られています。

アメリカの株式市場は、これまで年間平均7%の成長率であることから、インフレ率3%が考慮され、差し引き4%という理論上の値が基準となったようです。

 

それでもFIREがムーブメントになる理由

消費支出額の25倍を貯めてからFIREを目指すとなると相当な年月がかかりそうですが、それでもFIREがここまでムーブメントになったのには、それなりの理由があります。

そもそもFIREはお金持ちになることがゴールではありません。豊かな人生を歩むための「経済的自立」に重きが置かれていて、貯めたお金を元本に運用を続けつつ、一方では消費支出の不足分を副業で稼ぐ「サイドFIRE」や、週1~2日だけ働く「バリスタFIRE」など、いろいろなタイプのFIRE実践者がいます。

経済的自立といっても、一足飛びに消費支出の25倍を貯められるわけでもないですし、すぐにFIRE生活ができるものでもありません。最初は、

支出全体の一部分だけでも経済的自立を果たし、その部分をまかなう労働時間を減らしていくという考え方です。

働かなくてもいい時間を、本当に自分のやりたいことをする時間にあてる、というスタイルが、ミレニアル世代の心をガッチリつかんだのではないでしょうか。

 

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