最適な家賃を考えよう

住宅資金

家賃の目安は

自分に最適な住居の広さと立地を理解できたら、具体的に家賃の金額について考えていきましょう。

 

結論からいうと、家賃は、すべての人に保障されている「生活保護費」の住宅扶助額よりも抑えた金額を目安にします。

なぜなら、もしもある日突然に何かが起きて家賃が払えないような事態になったとしても、リスクヘッジが利くからです。

 

私たちの住む日本は社会保障に手厚く、最低限の生活は保障されています。

いざというときのために、行政では相談窓口が設けられていて、手当や給付、住宅のあっせんなど、そのときの個人の状況に応じて無料で相談に乗ってくれる制度もあり、現状住んでいる家の家賃が住宅扶助の限度額を超えていなければ、そのまま住み続けられる可能性が高いです。

 

では、実際に「生活保護費」の住宅扶助はいくらまでもらえるのでしょうか。

 

東京都内(一部地域を除く)の限度額は、単身世帯で5万3700円/月(床面積別上限あり)、2人世帯6万4000円/月、3人世帯6万9800円/月です。

地域ごとの家賃相場に合わせて設定されており、札幌市内の限度額も見てみると、単身者3万6000円/月(床面積別上限あり)、2人世帯4万3000円/月、3人世帯4万6000円/月となっています。

ただし、賃料は支給されますが、管理費や共益費は自己負担です。

 

住むところについては意外なほどしっかりと保障されることに、驚いた人もいるのではないでしょうか。

 

人生の3大出費の1つにカウントされている住宅資金ですが、国が保障してくれるという側面からいえば、「老後資金」や「教育資金」に比べると意外に融通が利く資金です。

 

もしも家賃が払えなくなっても

もしも家賃が払えなくなったとしても、無料で相談できる公的機関があります。

 

公共の相談窓口は、市区町村役所(場)の福祉事務所、社会福祉協議会、女性センター、ハローワークです。

公的機関ではありませんが、住居や食事を提供してくれるNPO法人などもあります。

 

 

それぞれの窓口では、どんな相談・申請ができるのでしょうか。

 

公営住宅を選択する

いざというときの住居として、まず公営住宅という選択肢があります。

住むところに困っている低所得者を対象に、公費で建設し都道府県や市が所有して貸し出しをしている住宅です。

収入基準が設けられ、礼金や更新料はありません。

毎年、収入調査が入って家賃が決まります。

間取りの割に家賃が安いのがメリットですが、入居の条件が厳しく、人気のある公営住宅は抽選でもなかなか当選できないのが難点です。

控除後の月収15万8000円以下(政令月収)を基準に、価格帯が区分されています。

月収が高くなれば、民間の賃貸住宅の家賃と同じかそれ以上になります。

 

公営住宅の家賃区分は下の表のとおりです。

 

なお、公営住宅の申し込みの要件に合わない場合は、UR賃貸住宅、住宅供給公社など公営に準ずる物件もありますので、検討するときの参考にしてみてください。

 

生活保護

私たちが家賃の目安として考えることにした「住宅扶助」が含まれる「生活保護費」の受給については、役所に併設してある福祉事務所で相談できます。

国が基準にしている最低生活費に収入が満たない場合、最低生活費から現在の収入を引いたその差額が支給されるのが「生活保護費」です。

その内訳には、住まいに関わる「住宅扶助」のほか、食費や光熱費などの「生活扶助」も含まれます。

 

なお、生活保護を受けられる人の条件は原則として次のとおりです。

  • お金に換えられる資産(土地・家)や預貯金などがない人
  • 病気やけが、高齢で働けない人
  • 年金・手当、制度などあらゆる社会保障の給付を受けても最低生活費に満たない人
  • 援助をしてくれる親族がいない人

 

住居確保給付金

自立支援相談機関では「住居確保給付金」の受給の相談とその申請ができます。

 

支給額の上限は市区町村や世帯人数によって異なり、生活保護の住宅扶助と同じ額で、東京都の場合は単身者で5万3700円/月、2人世帯6万4000円/月、3人世帯6万9800円/月です。

 

支給期間は原則3ヶ月ですが、必要に応じて3ヶ月ごとに2回の延長が可能で、最長9ヶ月支給されます。

申請後、審査を通過すると、毎月、賃貸人に直接家賃が振り込まれる仕組みです。

 

新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた特例措置で決められた要件に当てはまる場合は、ハローワークでの求職活動を要件に12ヶ月支給されるなどの措置もとられています。

 

「住居確保給付金」支給の対象となる人の要件は4つです。すべてに該当しなければ対象にはなりません。

 

  1. 離職・廃業から2年以内の人。または、勤め先の休業などで働く機会が減少した人。2年以内に離職・廃業している人であれば、現在仕事をしている人も対象です。
  2. 世帯の収入の合計額が、住所のある自治体の収入基準額以下であること。収入基準額は、基準額(市町村民税の均等割が非課税となる収入の月額)と家賃(実際に住んでいる家賃額、上限あり)を合わせた額で、その額を下回る人が対象です。ただし、コロナ禍による影響で2020(令和2)年に受給対象となった世帯には、基準額を超えても収入との差額が支給されています。
  3. 世帯全員の預貯金合計額が、自治体で定める額(基準額の6倍もしくは100万円)以下であること
  4. ハローワークへの求職申し込みをしていて誠実かつ熱心に活動をしている人。ただし、コロナ禍の影響で、自らの意思ではなく勤務先都合で働く機会が減少している人は、この要件は不要となっています。

 

なお、自立支援相談機関については、厚生労働省の特設ページ、各自治体のウェブサイトに記載されているので確認してください。

 

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