教育費は老後資金に次ぐ大きな出費
この記事では「教育資金」について解説していきますが、正直、幼いわが子や生まれたばかりの赤ちゃんの進路は、いまはまだわかりません。
中学受験組なのか、高校は私学に通わせるのか、大学はどこへいくのか。
とはいえ、最低限でもいちばん教育費のかからない小中高大いずれも国公立に通うケースの費用くらいは用意しておきたいものです。
わが子の夢をかなえるためには、できる限りのことはしてやりたいと思うのが親心というもの。
子どもが希望している進路について相談されたときに「お金がないから諦めて」なんて言わなくてもいいようにしておきたい。
しかし、家計の中でも老後資金に次ぐ大きな出費は教育資金だというのが現実です。
「支出を減らして収入を増やす」というFIREの基本にのっとって、早速、教育資金の準備に取り組んでいきましょう。
まずは、わが子にかかる実際の教育費はどのくらいなのか。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、そして公立と私立に分けて、学校生活に要する学費を見ていきます。
幼稚園から大学まで、すべて私学なら2327万円
最初に、幼稚園から高校までの15年間にかかる教育費を見ていきましょう。
もとにした資料は、2019(令和元)年12 月に文科省が発表した「平成30(2018)年度子供の学習費調査の結果」です。
公立ならびに私立の幼稚園、小学校、中学校および高等学校(全日制)の幼児・児童・生徒の保護者を対象にしています。
全国1140校2万9060人中、有効回答数2万4748人。
調査項目は、保護者が支出した1年間の子ども1人あたりの経費(学校教育費、学校食費、学校外活動費)、世帯の年間収入、保護者・兄弟姉妹の状況などです。
学習塾や習いごとなどの学校外活動費も含まれた費用として、調査年の2018年1年間にかかった学習費が発表になっています。
この金額を幼稚園から高校までの15年間に換算すると、公立だと521万円、私学で通すと1777万円。
15年間にかかる教育費は、私立学校では公立学校の3.4倍です。
幼稚園から中学までは、日常の生活費の中から捻出するので、こうして計算してみないと、どれだけかかっているかは実感がないかもしれません。
ただし、幼稚園と保育園の利用料(保育料)については、無償化制度が2019年10 月からスタートしています。
3~5歳児は対象施設を限定して、原則、全世帯が無償化。
非課税世帯では0~2歳児も保育料はかかりません。
とはいえ、利用料(保育料)以外の入園料、通園送迎料、食材費(給食費)、行事費、学用品費は無償化の対象にならないので注意してください。
そして、高校の授業料についてです。
すでに2010年から運用されている「高等学校等就学支援金制度」において、2020年4月より支給対象が拡大になりました。
公立高校の授業料(月9900円)はこれまでと変わらず、親が共働きで年収1030万円以下、片親が働いている場合で年収910万円以下の世帯ならば無償もしくは一部無償。
私立高校の授業料も、年収約910万円以上は対象外ですが、年収約590万円以上、約910万円未満は支給額月9900円(一部無償化)。
年収約590万円未満の場合、私立高校の平均授業料の水準まで支給額がアップし、ほぼ無償化されます。
この私立高校の授業料の無償化については、自治体によってもばらつきがあり、東京都についていえば、国の政策によりさらに手厚く年収910万円までの全世帯が無償化の対象です。
このほかにも、公立高校・私立高校共に、世帯収入の低い家庭は、授業料だけでなく、教科書代や学用品代、通学用品代、教科外活動費、PTA会費、修学旅行費用などを援助する制度も利用できます。
また、この無償化の判定基準が、2020年4月から「課税所得」となりました。
控除や経費の見直しをすれば無償化の対象になる可能性もあります。
もしも見直しで無償化になったら、そのぶんは大学進学時の費用にも回せます。
最後に、大学生活にかかる学費についてです。
文系か理系かで学費は大きく変わりますが、国公立か私立かでも4年間にかかる学費の相場はかなり違います。
平均値で、国立255万円、公立264万円、私立549万円です。
これに初年度は入学金が加算されます。
教育費に「お金がかかる」と感じるのは、高校から大学に上がるタイミングではないでしょうか。
入試費用や入学金、授業料、さらに大学入学と同時に一人暮らしを始める場合には、住居費や生活費も工面することになります。
ところで、幼稚園から大学まで19年間をすべて私学で通した場合、総額でいくらくらいかかるのでしょうか。
驚くことなかれ、その額は2327万2610円に達します。
これが、「教育資金」が人生の3大出費の1つだといわれる理由です。
学校外活動費の大きな割合を占める教室学習費
ベネッセ教育総合研究所は、2017年の調査結果をもとに1ヶ月あたりの学外教育活動の費用を学年別にしたグラフ(2017年)を作成しました。
学外教育活動の費用をスポーツ、芸術、家庭、学習、教室学習で色分けして、それぞれの割合と金額を示しています。
これによると、学年が上がるにつれて「学校外活動費」は増えていく傾向にあり、中学3年生が2万5900円でピークです。
高校生になると一気に減少し、再び高校3年生に向けて上昇しています。
小学校低学年まではスポーツの割合が大きいのですが、中学年以降は教室学習に割合をとられています。
中学3年生で学外教育活動がピークを迎える理由は、高校受験を控えて教室学習(学習塾受講費や家庭教師代、図書費など)に各家庭でお金をかけているからでしょう。
教育資金の大きな割合を占める、子どもの通う塾の費用やお稽古ごとの月謝は、どう転んでも控除や経費にはなりません。
やはり、教育資金の準備は早めにスタートさせておきたいものです。
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