法人化がもたらす3つのメリット
ビジネスが軌道に乗ったら、次のステップでは「法人化」を検討しましょう。
個人事業主から法人化すると、起業してここまでやってきたビジネスがさらに安定します。
私がなるべく早く法人化をしたほうがいいと勧める理由は、法人化をすることで、個人事業主のままでは得られない3つのメリットを享受できるからです。
法人化がもたらす3つのメリット
メリット①:社会的信用力が向上し、ビジネスチャンスが広がる
メリットの1つ目は、法人化すると社会的信用力がつくということです。
個人事業主でいるうちは、社会的な信用力が低く見られがちですが、法人になると信用面での恩恵が受けられます。
銀行からの融資や、国・自治体からの助成金・補助金の申請において有利です。
法人を相手にした仕事も依頼を受けやすくなります。
交流会などの場では、より規模の大きな取引先や協業のパートナーを探している企業の担当者などから、対等なビジネスパートナーとして見てもらえます。
メリット②:経費と控除を最大化して、節税効果が期待できる
メリットの2つ目は、節税効果です。
個人事業主のときとは比べ物にならないほど、税金の負担を軽くできます。
例えば、日常生活費の経費化です。
50歳からの起業では、日常生活と事業が密接に関わります。
法人化すれば、自宅の家賃や光熱費、通信費の一部を経費として計上できます。
その他、旅費や書籍代、自己投資のためのセミナー費用なども経費にすることが可能です。
また、自分への給与(役員報酬)で所得をコントロールできます。
法人から自分へ支払う給与(役員報酬)は、法人の経費(損金)として計上できます。
受け取った個人側では、給与所得控除が適用されるため、全体の所得を大きく圧縮し、税金を減らすことができるのです。
他にも、法人限定の投資・共済制度が利用できます。
個人事業主にはない、法人だからこそ使えるお得な節税・投資制度があるのです。
例を挙げると、小規模企業共済(国が運営する経営者のための退職金制度)は、全額が所得控除の対象になります。
経営セーフティー共済(倒産防止共済)は、取引先の倒産などに備えるための制度ですが、掛金が全額損金になるため、税の繰延べ効果があります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)では、個人型のiDeCoよりも非課税投資枠を活用できるのです。
メリット③:社会保険料を自分でコントロールできる
メリットの3つ目は、社会保険料の調整です。
給与設定による保険料のコントロールが自分でできます。
自分の給与(役員報酬)は自分で決められますので、先ほども伝えたように50代からの起業では、生活費の多くを経費化できるため、給与を社会保険料が安くなるラインに設定できれば、保険料を抑えることが可能です。
また会社が負担する社会保険料の半分は、法人の経費(損金)として計上され、保険料も経費になります。
このようなメリットがありますから、結論としては、たとえ赤字でも年間7万円の法人地方税がかかることを考慮した上で、なるべく早く法人化するのがおすすめなのです。
法人化を検討すべき最適なタイミング
なるべく早く法人化はしたほうがいいのですが、もしあえてタイミングを計るのであれば、次の二つのタイミングを目安にしてください。
個人の所得税率が法人の税率よりも高くなり始める「事業所得が800万円を超えたとき」と、消費税の納税義務が発生するタイミングである「年間売上が1000万円を超えたとき」です。
法人登記の手続きとその後のフロー
お分かりのとおり、法人化をする際には、法人登記をすることになります。
基本的な流れは次のとおりです。
- 会社概要を決める
- 定款を作成し、認証を受ける
- 資本金を銀行に払い込む
- 登記申請を行う
この一連の手続きで法人化は完了です。
以前は煩雑な手続きが必要でしたが、現在はオンラインサービスを使えばスムーズに進められます。
会計ソフトのマネーフォワードには、法人設立ができる無料システムが付帯していますので、参考にしてください。
法人登記が完了したら、必ず社会保険の加入手続きを行いましょう。
年金事務所に出す書類は、新規適用届(法人を社会保険の適用事業所にするための書類)、資格取得届(社長自身の被保険者資格を取得するための書類) 、被扶養者届(扶養家族がいる場合に提出する書類)です。
法⼈化をすると、さまざまな事業にも取り組めるようになります。
50代からの起業のゴールは自己実現ですから、法⼈化を⾒据え、今後の活動を意欲的に進めていきましょう。
本書では、50代からこれまでの人生で得た経験や学びを資産に変え、自分らしいビジネスを無理なく、そして着実に育てていくための起業の方法について、具体的なステップで伝えてきました。
ブログから始まり、Kindle、オンライン講座、そしてコミュニティへと展開するこの一つひとつのステップは、単に収益を上げるためのテクニックではありません。
あなたの「好き」や「得意」を通じて誰かの役に立ち、感謝され、そしてあなた自身も心から楽しいと思える、あなただけの豊かな人生を創り上げていくプロセスです。
その過程で紹介した、専門家としての権威性を高める「ブランド化」や、ビジネスを安定させる「法人化」もまた、あなたのこれからの活動を守り、後押ししてくれる強力なツールの一つとなっていきます。


コメント