節約と工夫で充実の食生活を
2020年から世界的に新型コロナウイルス感染症が蔓延しています。
そのせいで、わずか2年のうちに私たちの暮らしは大きく変化し、食生活のスタイルも変わりました。
それまで平日といえば仕事一辺倒でほとんど家にいなかった人も、感染症防止の観点から在宅でテレワークとなる日が増え、同様に子どもたちの学校生活も、時間差登校やオンライン授業などが実施されて家にいる時間が増えました。
余暇の過ごし方にも変化が出ています。
週末や祝日といえば、友人と一緒に食事に出かけたりお酒を飲んだりする楽しみもありましたが、いまではそれもめっきりと減り、ちょっとしたカフェに出かけることすらも、ままならなくなりました。
在宅時間が長くなると、生活上で気がかりになるのが、朝昼晩の三度の食事です。
一人暮らしでも家族がいても、在宅時間が長くなると共に自宅での食事の回数が増えて、その都度「ごはんは何にするか」で悩みます。
また、外でお酒を飲まなくなったぶん、自宅でたしなむ機会も増えました。
中食といわれる、飲食店のテイクアウトや「ウーバーイーツ」「Amazonフレッシュ」といったフードデリバリーなども充実してきましたが、自宅での食事の基本はやはり「自炊(内食)」です。
おそらくここ1年ほどは、週末は食品スーパーで1週間分の食料を買い込む、という人も多いのではないでしょうか。
2020年1年間のスーパーマーケットの売上からも、中・内食の増加傾向は顕著です。
日本チェーンストア協会が2021年1月に発表した加盟56社の2020年の売上高は12兆7597億円。
5年ぶり(既存店ベース)の増収でした。
そのうち食品の売上は、前年比の4.7%増(既存店ベース)で、特に2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響で、中・内食の需要が拡大しているようです。
コロナ禍にあってさらに大きく家計を占めるようになった食費。
生活費の中でも自分次第で調整できるのが食費ですから、なんとか節約したいと考える人も多いと思います。
しかし、食費は生きていく上で絶対に必要なお金です。
節約したいからといって食事を節制しすぎて健康を害してもまったく意味がありません。
また、食事の時間は家族共通の楽しみなので、FIREを達成しても大切にしてほしい時間です。
月に食費はどのくらいなのか
まずは、現状で食費にかけている実際の金額を知るところから始めましょう。
家計簿をつけていなければ、レシートを集めてください。
食費の中には数ヶ月に一度程度しか買わないものもあるので、1ヶ月から3ヶ月分を見てみるのがおすすめです。
外食費、飲食店からのテイクアウト品やフードデリバリーなども、項目を分けて入れてみましょう。
次ページの表は2人以上世帯の食費の月平均額と年間支出です。
1ヶ月の食費の合計は8万277円。
外食にかけている費用が1万810円。
自炊にかけている費用は6万9467円で、この金額には総菜など調理食品も含まれています。
この一般的な食費の平均値と、自分が毎月食費として使っている金額とを比べてみましょう。
エンゲル係数で家計をチェック
家計の支出に占める食費の割合は似たり寄ったりだとしても、収入によって実際の金額は違います。
そこで目安にしたいのがエンゲル係数です。
エンゲル係数の計算方法は下記のとおり。
エンゲル係数(%)=食費÷消費支出×100
「消費支出」とは生活費のことで、食費、住居費、光熱費、水道費、被服費、交通・通信費、教育費、教養娯楽費の合計を意味します。
エンゲル係数は、1857年にドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲルが発表した係数です。
食費はいつ、どこの国でも人間がいる限り使われるお金なので、経済状況を把握する指標とされています。
一般的に、生活水準が低いとエンゲル係数は高く、生活水準が高いとエンゲル係数は低いといわれていますが、これは、食費の支出は不可欠で削減が難しく、所得が低い層では生活費の大部分を食費が占めてしまうためと考えられています。
日本のエンゲル係数(2人以上の世帯)は、終戦直後には60%もあったようですが、近年では20%台です。
上の表にある2020年の2人以上世帯の1ヶ月食費について、エンゲル係数を計算してみます。
同年の家計調査の資料によると、この年、1ヶ月の生活費の平均値は合計27万8557円だったので、「8万277(食費)÷27万8557(消費支出)×100=28.8%」となります。
すなわち、2020年のエンゲル係数は28.8%で、前年比3%増です。
生活費に占める食費の割合は、やはりコロナ禍で増加していることがわかります。
日本の場合、コロナ禍となって、被服費や旅行での出費にかかる交通費・教養娯楽費が減っているなどの影響が出ています。
では、年収別での平均で食費とエンゲル係数を見てみることにしましょう。
エンゲル係数は20%の後半ですが、確かに年収が上がるほどにエンゲル係数の値は低くなっています。
コロナ禍の影響で近年の平均値とは相違があるように、エンゲル係数はあくまで平均的な傾向を示すものです。
それぞれの世帯の生活スタイルによっても左右されます。
最近では、共働き世帯の増加により、外食や総菜などの利用でエンゲル係数が上昇傾向にあるようです。
いまの時代背景や自分の生活スタイルを考慮に入れて、年収別の世帯の食費とエンゲル係数を参考に、今後の食費の予算を立てるようにしてください。
月の食費予算を袋分けで管理する
我が家の食費の話ですが、月で予算を組んだら、今度はそれを1週間分ずつ4つの袋に分けています。
週で使える食費を決めて封筒に袋分けしておくと、絶対にその金額内に収めようと意識するので、必ず数円余るようになりました。
月予算の段階で「この費目を絞ろう」と決めても実際はなかなか難しいのですが、週ごとに細かく予算化すると意外とお金が余ることを実感しています。
節約したいがために、漠然と「食費を削ろう」とするのでは、単に食べずに我慢するような人も出てくるかもしれません。
しかし、支出全体から食費を見て予算化していけば、決めた食費の予算は余裕を持って使い切れます。
足りなくなりそうであれば、なにかと知恵も湧くものです。
同じ鶏肉でも安い胸肉を使ったり、買ってある食材を使い切ったり……。
1週間単位なら創意工夫でなんとか乗り切れる場合も多いはずです。
健康を意識すると食費がかからなくなる
私自身、ここ数年で自分の生活を健康志向にシフトしてみて、気が付いたことがあります。
健康を意識するようになって、これまでよりも食費にお金がかからなくなったということです。
お茶やコーヒーよりも水を飲むようになり、コンビニエンスストアにもあまり行く機会がありません。
食事のときは野菜を多くとり、味付けも薄いものを好むようになったため、必然的に外食の回数が以前よりも少なくなっています。
やはり体は食べものでできているんだと実感しています。
何を食べているか、どんなふうに食べているか、いつ食べているかなどで、健康診断の結果もテキメンです。
健康のために、車に乗るよりも歩くことを心がければ交通費の削減につながりますし、健康になれば医療費だってかかりません。
食べなければいけないのに食べるものを制限して節約するよりも、健康を意識して生活をしていけば、食費もそうですが、それ以外のところでもお金はそれほどかからなくなります。
健康になって、生活資金を削減できて、そのぶんを投資に回して収入を増やすことができれば、さらにFIRE実現が早まるでしょう。
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