講義動画の制作準備(機材編)
オンライン講座のカリキュラムができたら、動画コンテンツの制作に入ります。
機材の準備から動画の作成、そして講座を公開するサイトの構築まで、一連の流れを解説します。
動画コンテンツの制作は、パソコン、そのパソコンに付属のカメラとマイクが最低限あれば、制作することは可能です。
もし機材にお金をかけられるのであれば、照明やマイク、カメラのランクアップをしていきます。
最初に機材のランクアップの考え方です。
表情が明るくクリアに映る「照明」
「照明」は講座動画の話し手の印象をよくします。
明るくすると顔にかかる影がなくなり、好印象です 。
逆に、照明が暗いと顔つきが怖そうに見えるなど、よくない印象を与えてしまう可能性があります。
5分から15分の動画とはいえ、この先も講義動画を見てもらうことになりますから、照明をランクアップしてこちらの印象を良くするに越したことはありません。
リングライトやスクエアライトなどを使って、あなたの表情が明るくクリアに映る環境を整えましょう。
ちなみに、眼鏡をかけている方は、丸いリングライトだとレンズに光が反射してしまうことがあります。
照明の形状も考慮することが望ましいです。
聞き取りやすい声を届ける「マイク」
講義動画を視聴するのに声が聞き取りにくいのは、受講生にとってストレスです。
動画制作機材でランクアップするものとしては、「マイク」に力を入れることをお勧めします。
イヤホン付きマイクは、衣服に擦れる音(服ずれ音)が入りやすく、ノイズの原因となるため避けた方が無難です。
マイクを準備するのであれば、動画収録用のマイクにします。
目線の高さを合わせる「カメラ」
意外に思うかもしれませんが、今時のパソコンであれば、カメラはパソコン内蔵のもので十分です。
講義動画の収録は、Zoomを使った画面で資料を映しながら話すことも多く、講師の顔が画面に映るサイズは比較的小さいからです。
むしろ気をつけるべきは画角です。
パソコンの内蔵カメラが、受講生である視聴者の目線と同じ高さになるように調整していくのが自然です。
印象も悪くありません。
講義動画の作成(資料・撮影編)
機材が整ったら、いよいよ動画の制作です。
撮影に入る前に、講義中に受講生の理解を深めるために画面に表示させるセミナー資料(スライド)を作ります。
資料作りの方法は二つあります。
「自分で作る方法」と「AIに任せる方法」です。
自分で作る場合には、「PowerPoint」「Keynote」「Googleスライド」「Canva」などのツールを使います。
講義で話すことを想定し、「このスライドでは何を伝えようか」「どういう順番で話せば分かりやすいか」と試行錯誤していくプロセスそのものが、話す内容をあなたの頭の中に記憶させる最高のリハーサルです。
一方で、デザインに自信がない人や、とにかく時間を節約したいという場合には、AIに任せるのも有効な手段です。
最近のAIツールは非常に優秀で、見た目にも美しい、プロ品質のスライドを短時間で作成してくれます。
Kindleの図版作りで活用する生成AIとして紹介した「GenSpark」は、高クオリティなセミナー資料も作成できます。
ただし、AIが作成した資料を使う場合には、資料の内容を自分自身で何度も読み込み、完全に自分のものとして消化してから、撮影に臨むようにしてください。
AIが作った構成をただなぞるだけでは、受講生の心に響く講義にはなりません。
どちらの方法を選ぶにせよ、大切なことは、あなたがその内容を完全に理解し、自信を持って受講生に語れることです。
また、講義動画は単調になりやすく、受講生が飽きてしまうことも想定されます。
受講生の集中力を引き出すためにできる「資料作成の工夫3点」紹介しておきます。
①あえて「不完全」に作る
資料作成で意識すべき点は、セミナー資料だけでは内容を完全に理解できないように作ることです。
理由は、スライドに全ての情報が書かれていると、受講生は「読めばわかる」と判断し、あなたの話を聞かなくなってしまう可能性があるからです。
資料に載せる文字量はあえて最小限に留め、あくまであなたが話す内容を思い出すためのきっかけとします。
意外に思うかもしれませんが、この工夫で受講生の集中力を引き出すことが可能です。
②デザインに一貫性を持たせる
次に、講義全体の世界観を演出します。
視聴する際のストレスを減らすために、デザインの一貫性を保つようにしてください。
見出しの位置やレイアウト、アニメーションのパターンなどを講座全体で統一し、トンマナをそろえます。
書体は、ゴシック体を基本にするのが無難です。
私が作るときは、ゴシック体で統一し、その太さの強弱でアクセントをつけています。
内容が固い骨太の講座にしたいのであれば、明朝体もお勧めです。
ポップ書体は安っぽさが出るなど、⽂字から伝わる印象もあります。
色は講座のブランドイメージを左右します。
例えば、青なら知的でクールな印象、緑なら安心感や優しい印象を与えるなど、色彩心理を意識するのも有効です。
私が作る資料の背景の色は、オンライン講義の場合は白、リアルで開催する講座では黒。
視聴者が目にするデバイスによって、読みやすい印象になるように配慮しています。
③単調さをなくす工夫をする
どれだけデザインが美しくても、文字ばかりのスライドが続くと、受講生は飽きてしまいます。
単調になりがちな講義動画にアクセントをつけるため、内容に合わせて写真や図を挿入していくと効果的です。
受講生の集中力を持続させる助けとなります。
動画の撮影と編集方法
動画の撮影をする機能やアプリですが、Zoomの録画機能を使えば十分です。
購入前の申し込みページ(ランディングページ)に載せる動画は、購入の決め手になるものですからそのクオリティにも配慮しますが、オンライン講座の講義動画は、購入後に視聴するものですので過度に凝る必要はありません。
編集も同様の考え方をします。
3万〜5万円程度までの講座であれば、話の間を詰めたり、言い間違えた部分をカットしたりする程度の簡単な編集で問題ありません。
完璧な一本を追求するよりも、気軽にたくさんの講座を作ってリリースしていく方が、結果的に大きな収益につながります。
講座サイトの構築(プラットフォーム編)
制作した動画やセミナー資料を格納し、受講生に提供するための「講座サイト」を構築します。
講座サイトの構築には、さまざまなサービスがありますが、お勧めできるのは先ほども紹介した「UTAGE」です。
UTAGEは、単に講座サイトを作れるだけでなく、商品の販売に必要なセールスファネルや、購入者へのステップメール、LINE配信といった機能がすべてパッケージになっています。
その多機能さを考えると、非常にコストパフォーマンスが高いです。
また、UTAGEで講座サイトを作ると、あなたが公開している講座がネットショップのように一覧で表示されます。
これにより、あなたの講座を一つでも受講した人が、別の講座にも興味を持って購入してくれるといった講座間のクロスセルも期待できます。
低コストで始めるなら「WordPress」を使ってください。
WordPressでサイトを作り、パスワードをかけて保護し、そのパスワードを有料で販売するという方法です。
ただしこの場合は、UTAGEでできるような受講生一人ひとりの進捗管理はできません。
WordPressもサーバー代などの費用はかかりますが、UTAGEに比べれば安価に始められる選択肢です。


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