ブランドを確立することで得られる効果
本書のここまでの話で、50代で起業したあなたは、これまでの経験や学びを収益に変え、ファンを増やしていくための具体的なステップを踏んできました。
最終章では、そのビジネスとあなた自身の価値をさらに上のステージへと引き上げるための総仕上げの戦略について解説していきます。
まずは「ブランドを確立する効果」についてです。
「ブランドを確立する」とは、簡単に言えば、「〇〇といえば、あの人だよね」と、特定分野の第一人者として思い出してもらえる存在になることです。
単におしゃれなロゴを作ったり、難しい肩書を名乗ったりすることではありません。
ブランドとは、あなたがこれまで発信してきた情報や、築き上げてきた実績、そしてあなた自身の「価値観」や「世界観」が積み重なって、まわりの人々の中に生まれるものです。
ブランドとは、「この人は、〇〇の専門家で信頼できる」というイメージそのもののことです。
例えば、私がこれまで「観光列車」というテーマで情報発信を続けた結果、「観光列車の専門家といえば、この人」というブランドが確立され、テレビ出演などのメディアからのオファーにつながったというようなイメージです。
つまり、「ブランドを確立する」とは、あなた自身の名前や活動が、ある特定の価値と結びつき、顧客や周囲の人たち、テレビなどのメディアから「指名買い」される状態を作り出すことを意味します。
ブランドを確立したら、もうあなたは市場から選ばれる存在です。
顧客から仕事の依頼が途切れることなく来るようになり、専門家として信頼され、発言力が増して存在感が大きくなっています。
また専門家としてブランドが立つと、テレビやラジオへの出演オファー、雑誌の寄稿依頼なども向こうからやってくるようになるのです。
これらは私もすべて実際に体験してきました。
ブランドを確立させると、選ばれる存在になれるのです。
会社員だったあなたが50代から起業してここまでの存在になれたわけですから、ここからはどんどん自身の中にある欲求を満たして、人生の総仕上げに向かって活動を続けていってください。
ブランドの確立は、豊かな人生のプロセス
50代からの起業の最終的なゴールは、単にお金を稼ぐことだけではなく、自分の能力を最大限に発揮し、なりたい自分になれる「豊かな人生」にあります。
「マズローの5段階欲求」という理論をご存知でしょうか。
アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した理論で、「人間の欲求は、5段階のピラミッドのように階層になっていて、低次の欲求が満たされると、次の段階の欲求が現れる」とするものです。
マズローによれば、人間の欲求は、ピラミッドのように階層になっています。
第1段階:生理的欲求(Physiological Needs)
生命を維持するための、食事・睡眠・排せつといった最も基本的な欲求
第2段階:安全の欲求(Safety Needs)
身体的に安全で、経済的にも安定した、安心できる暮らしをしたいという欲求
第3段階:社会的欲求(Social Needs / Love and Belonging)
家族や友人、会社やコミュニティなど、集団に所属して仲間とのつながりを感じたいという欲求
第4段階:承認の欲求(Esteem Needs)
集団の中で「価値ある存在だと認められたい」「尊敬されたい」と願う欲求(他者からの承認だけでなく、自分自身を認めることも含む)
第5段階:自己実現の欲求(Self-Actualization Needs)
自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮し、「なりたい自分」になりたい、創造的な活動をしたいという最高次の欲求
このマズローの欲求をあなた自身に当てはめてみましょう。
第1段階「生理的欲求」と第2段階「安全の欲求」は、日本に暮らし、起業してビジネスを軌道に乗せることができているあなたにとって、生きていくための土台となる欲求はすでに満たされています。
次の第3段階の「社会的欲求」は、起業して活動しているあなたのまわりにはすでにファンもいますし、仕事仲間との関わりを持てるようになっていますので、人とのつながりを求める欲求はもうすでに満たされている状況です。
そして次の第4段階「承認の欲求」がまさに今のあなたのいるところです。
ブランドを確立し、業界内で影響力を持つ存在になることで、この「承認の欲求」が満たされていきます。
ブランドを確立して承認欲求が満たされると、人は最終段階の欲求である「自己実現の欲求(自分の能力を最大限に発揮し、なりたい自分になる)」へと向かうことになりますが、これこそ、50代からの起業が目指す豊かな人生であり、本書が示したい価値ある最終的なゴールです。
つまり、「ブランドの確立」は自己実現を叶え、豊かな人生を送るためのプロセスになります。



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